上を向いた小さなお鼻に、少し離れた真ん丸な目。ユーモラスでどこか品のある猫・エキゾチック。小川ブリーダーは、約30年前、日本で先駆けてカラーポイントエキゾチックのブリーディングを始めた第一人者のひとりです。

事務局　現在はどんな猫を扱っていますか?
小川ブリーダー　ほとんどの猫種をブリードしてきましたが、現在は主にペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチック、アメリカンカールの4種です。最初にブリーディングを始めたのは、ペルシャからでした。ペルシャは、ツンと澄ましたお嬢さまのような上品で優雅な雰囲気の猫です。その姿にひかれてずっとペルシャをやっていました。ある時、本でポイントカラーのエキゾチックを見て、一目惚れしてしまったんです。

事務局　当時、エキゾチックをブリードしているブリーダーは、日本では珍しかったようですね。
小川ブリーダー　そうですね。カラーポイントのエキゾチックが欲しいと思っても、当時は、日本では見つけることができませんでした。私はエキゾチックのポイントカラーをやりたかったので、アメリカやカナダから輸入をして、ブリーディングを重ねています。もう30年になります。ドイツからは、シェーデッドカラーのエキゾチックを輸入してブリーディングもしています。もちろん、バイカラーやキャリコ、ソリッドカラーのエキゾチックもブリーディングしています。

事務局　ポイントカラーのエキゾチックは、作出が難しいと耳にしました。
小川ブリーダー　親がどんな遺伝子を持っているか、カラーポイントの遺伝子を両親が持っているかを把握してブリーディングをしないといけないので、難しいと言えば難しいですね。ポイントカラー同士を掛け合わせる簡単な方法もありますが…。ポイントカラーのエキゾチックはソリッドカラー(単色)やタビー、他のカラーのエキゾチックと比べるとタイプの崩れる可能性が高く、その改良のためにソリッドカラーのエキゾチックを使います。一代目はポイントカラーのエキゾチックにはなりません。それから生まれた猫に、ポイントカラーを掛け合わせるか?ポイントカラーの遺伝子を持った猫同士を掛け合わせるか?と、改良とカラーの二つの問題をクリアしていかなければならないのです。ポイントカラー以外のエキゾチックの作出は一代で結果をみれますが、ポイントカラーはもう一代待たなければなりません。それだけ時間がかかるんです。アメリカ在住の私のポイントカラーの先生に、初めて連絡をしたときに言われた言葉は「ポイントカラーは、とても難しい!!!!」でした。ヒマラヤンが完成するには25年かかると言われたように、カラーポイントのエキゾチックも同じだと思います。CFAのキャットショーには時々参加して、自分のブリーディングがどの程度進んだかを確認しています。最近になってようやく安定したポイントカラーの子猫を出せる様になりました。まだまだ満足には至りませんが…。

事務局　そこまでして、エキゾチックにこだわるのはなぜですか?
小川ブリーダー　とにかくかわいいからですね。エキゾチックはモコモコ、フワフワ、まるでぬいぐるみのようなんですね。人懐こくて、目じりが下がってしまいます。私は子猫達に、とにかく手をかけて、人間は怖くないんだよ、と教えるようにしています。お客様には「ここの猫ちゃんはとても人懐こくて、怖がらないんだね。」と言っていただいています。目の中に入れても痛くないですね。ゆっくり時間をかけて、穏やかで人懐こい子を育てていきたいと考えています。

事務局　ブリーダーとして大切にしていることはありますか?
小川ブリーダー　一番気を遣っているのは、病気です。病気の知識をしっかり持って、きちんと管理していきたいと思っています。それから、健康で可愛い穏やかな性格の愛される猫達をつくっていきたいと思っています。猫は新しい環境におかれるとストレスを感じやすく、体調を崩しやすい動物です。新しい家族の元へ行っても、早く慣れて、健康でいられるように、出来る限りのことはやってあげたいと思っています。家族の一員として、パートナーとして、猫と暮らしていただけたらいいなあと思っています。