夏になると冬を恋しくなり、
冬になると夏が恋しくなる。
夏虫の声が一日中聞こえ、昼夜問わず虫が飛び交う。
夏を喧騒とすると、冬の夜はまさに静寂である。
吐息は白く、薄暗い街灯の下
ひらりひらりというよりは
ふらりふらりと気息奄々と舞う虫がいた。
【冬尺蛾】である。
天敵を避ける為、冬に活動出来るよう順応し
した。というよりは
そうせざるを得なかったのかも知れない。
雌は翅が退化し、翔ぶことは出来ず
成虫は飲み食いも一切せず(というよりは冬を生きる上で口も退化し無くなっている)
雄は雌のフェロモンを求め、ただただ弱々しく舞う。
基本的な能力でいうと情けないくらい低く、夏に飛んでいようものなら蝙蝠にとっては恰好の餌食であることは言うまでない。
世の中の【普通】とされることを基準に努力をしても自身の能力の低さが露呈し、淘汰されてしまい
敢えて人と違う事をして生き残る他ない。
なんというか、自身と重ね親近感さえわいてしまう。
行く宛があるのか、ないのか、厳寒の空の下、ふらりふらりと舞っている。
冬尺蛾、厳冬に生きる。
温い風の中を舞いたかったのかも知れない。
夏に翔べる虫はもとより、
茹だるような暑さでも活動出来ることに感謝しなきゃね。
下の画像は、ハスモンヨトウ(幼虫)
夏に舞う、未来のある子供。
※虫が苦手な人はスクロールしないで下さい。

#ロシアンブルー
#ブリティッシュショートヘア