キャットショーとは

キャットショーは、全国からトップクラスのショーキャットたちが集まり、猫種ごとに定められた基準に基づいた健康的な美しさやコンディションを競う品評会です。

国内外でさまざまな団体が、純血種の保全と普及を目的にキャットショーを開催しており、エントリーする猫のブリーダーや飼い主だけでなく、一般の方も見学することができます。

▲【写真】審査をおこなうのは、『ジャッジ』と呼ばれる各猫種登録団体の認定審査員たち

日本最大級のジャパンキャットショー

プレミアムペットフードや食事療法食を展開しているロイヤルカナン ジャポン社が主催する『ジャパンキャットショー』は、日本最大級のキャットショー。全国から200頭以上のショーキャットが集結する見ごたえあるイベントです。

歴史ある2大血統書団体であるCFAとTICAによるキャットショーが同時に楽しめるのは、『ジャパンキャットショー』だけです。

CFA:1906年に米国で創立された世界最大の愛猫協会として活動する非営利団体
TICA:1979年に米国で創立された純血種および家庭猫の世界最大の血統登録機関

キャットショーの楽しみ方

猫好きなすべての人が楽しめるキャットショー、猫種に詳しくなくても、美しい猫ちゃんたちを眺め、ブリーダーやジャッジたちのプロの仕事を知ることで心躍る体験ができます! キャットショーの主な見どころ3点について紹介します。

キャットショーの見どころ3つ

1 普段目にすることのできない品種の猫を見ることができる

ペットショップなどで見かけることの少ない、珍しい猫種も多数参加しています。またショップで展示されているのは子猫がほとんどなので、純血種の成猫を見る機会はなかなかないもの。さまざまな猫種の美しく成長した姿を見ることができるのもショーならではです。

2 それぞれの猫種のスタンダードを知ることができる

ジャッジは猫種ごとに設けられた審査基準に沿って厳正な審査をおこないます。ジャッジは手慣れた手つきで猫を観察していきますが、どの猫に高評価がつくのか、観客はワクワクしながらその様子を見守ります。
▲【写真】自分が手掛けた愛猫についたリボンを撮影するブリーダー

3 猫のプロ、ブリーダーの仕事がわかる

猫をブリーディングし、育てているブリーダー。ショーキャットを輩出するためには、普段のお手入れや食事に対し、きめ細やかな配慮が必要になります。キャットショーはブリーダーの飼育スキルや普段の仕事ぶりを評価し、賞賛する場でもあるのです。
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一般の飼い主さんもエントリー可能!

一般家庭でかわいがっている猫も「ハウスホールドペット」部門に参加ができます。血統書の有無や品種を問わず、スタンダードに縛られない健康的な美しさが審査対象となります。終始和やかなムードで進行し、飼い主さんは自慢の愛猫についてジャッジからコメントをもらうことができます。

キャットショーの流れや見学方法について、2023年に開かれた『ジャパンキャットショー2023』を例にご説明します。

ジャパンキャットショー2023リポート

2023年10月8日 【日】に、池袋・サンシャインシティ文化会館で『ジャパンキャットショー2023』がおこなわれました。

ロイヤルカナン ジャポン社主催の本イベントは、今年で3回目の開催。ショーの内容について、主催者代表などのインタビューを交えて詳しくリポートします!

▲【写真】フロア内はTICA・CFAの審査会場に分かれ、ショーが同時進行している。

来場・オンライン合わせて5,700名がイベントを見学 

計33種、255頭の猫が出場を果たした今年のジャパンキャットショー、2,500名が来場したほか、3,200名以上がライブ配信を視聴するという盛況ぶり。
 
主催者であるロイヤルカナン ジャポン社の山本社長は、「ショーを通じて猫の魅力、猫の真の健康について多くの人に知ってもらいたい」と語ります。

キャットショーの開催をはじめ、品種ごとの健康ニーズに沿ったフードの開発、専門家への啓発活動を積極的に展開する同社が目指す世界について、山本社長にお話しをうかがいました。
すべての猫に<真の健康>を届けるために
ロイヤルカナン ジャポン 山本俊之社長

私たちは、<ペットにとってより良い世界を作る>というパーパス(存在意義)を掲げ、<ペットの真の健康を実現すること>を目指しています。

真の健康とは、毛吹き・毛ヅヤ・皮膚の状態・身のこなし・目の輝きを含めて、その子が本来もつ美しさが引き出された状態のこと。それを実現するには、ペットオーナーの方が、ペットについて正しい知識を持ち、適切に行動していただくことが大切なので、専門家(ブリーダーさんや獣医師さん)のお力を借りて日々啓発に努めています。

キャットショーでは、品種ごとに異なる美しさを誇る猫たちが一堂に会します。来場者のみなさまには、健やかで個性あふれる猫たちの魅力と、その魅力が健康によって支えられているということを知ってもらえたらうれしいですね。

CFA・TICAによる同時開催

1つの会場で、CFA・TICAがショーを同時進行させるのは、ジャパンキャットショーだけ。さまざまな品種の美しい猫たちが会場を行きかい、情報交換するブリーダーや真剣なまなざしでショーを見守る見学者たちの姿があり、会場は活気にあふれています。

CFA・TICAそれぞれのリジョンディレクターを務めるおふたりに、「キャットショーにかける想い」をお聞きしました。
豊かな経験と知識をもったジャッジが品種ごとの魅力を審査
TICAアジアイーストリジョンディレクター 田崎尚枝さん

TICAが公認している品種は73種類、品種それぞれに評価の基準が異なり、ジャッジは頭の形、耳の形、目の大きさや色、毛色やテクスチャ―(手触り)など細かくポイントをつけていきます。厳正な審査をするために、ジャッジはすべてを勉強し毎年更新テストを受けるのです。

ショーを通じて、純血種の良さ、グルーミングの重要性を知ってほしいです。また、欧米ではハウスホールドの出陳数が50頭などと多いのですが、日本は少ないので、もっともっと挑戦してほしいな、と思っています。

多くの人にショーを気軽に楽しんでもらいたい
CFAジャパンリジョンディレクター 早田由貴子さん

猫にはそれぞれあるべき姿(スタンダード)があり、それを崩すことなく大切に守るのが私たちの役割です。ブリーダーさんは、それぞれ品種の良さを引き出すために努力を重ねており、その成果を発表する場がキャットショーなのです。
ショーを見に来られた方には、ショーキャットたちの猫種本来の美しさを見ていただきたいですね。そして、お手入れやフード選びの重要性について考えるきっかけになればと思います。

ショーキャットの落ち着きにも目を向けてほしいです。性格も評価対象になり、穏やかで人なれしていることが求められます。家庭の猫ちゃんも子猫のうちから周囲の人間に抱かせたり、ケージに慣れさせたりすることで、落ち着きのある子に訓練することが可能なんですよ。

ショーの内容と見学方法

ジャパンキャットショーは、一般の方も見学が可能です。前売り券を事前購入するか、当日会場で入場券を購入して会場に入ります。CFAとTICAはブースが分かれていますが、来場者はどちらも見学が可能です。

さらに特設サイトからLIVE配信もおこなわれ、一部のステージプログラムやキャットショーの解説を見ることができます。
開催時間10:00~17:00
入場料前売り券800円/当日券1,000円
取り扱い先チケットぴあ、イープラス、Peatix
※2023年10月8日開催のジャパンキャットショーの概要です。開催年度によって内容は変更される場合があります。 

審査の流れ

子猫部門、成猫部門など、部門ごとの審査が6カ所の『リング』と呼ばれる審査台で同時進行でおこなわれます。審査方法や基準、クラスの分類はCFA・TICAで若干異なりますが、大枠の審査の流れは同じです。

審査は1~3次まであり、勝ち抜きのような形でファイナルに進む猫が決まります。ジャッジの評価はリボンの色でわかるようになっています。ファイナルは決勝戦のような形で、トップ10位までの猫が参加します。

部門ごとの審査

審査は、部門に分けておこなわれます。なお、CFAとTICAでは部門や呼び方が異なります。

【CFA】
子猫部門8カ月未満の猫が対象のクラス
成猫部門生後8カ月齢以降で去勢避妊手術をしていない猫が対象のクラス
去勢避妊猫部門生後生後8カ月齢以降で去勢避妊手術をしていない猫が対象のクラス
ベテラン部門生後7歳以上の猫が対象のクラス
家庭猫家庭猫は4カ月~
【TICA】
KITTEN(子猫)生後4カ月~8カ月未満の血統登録済み子猫
CAT(成猫)8カ月以上の血統登録済み成猫
ALTER(去勢したオスまたは避妊したメス)8カ月以上の血統登録済み成猫
HHP(家庭猫・子猫部門と大人部門)血統登録されていない猫や品種のスタンダードを満たしていない猫など

ショーのクライマックスであるファイナル審査の一部を見学

ジャパンキャットショー全体を通してのNo.1は各ステージのファイナル審査のポイントを合計したうえで発表されますが、当日はファイナル審査の一部をメインステージで見学することができました。

CFAでは5頭、TICAでは10頭の猫たちがメインステージに集められ、そのなかで順位発表がおこなわれました。ジャッジは順位を発表しながら、それぞれの猫についてどこが評価ポイントとなったのかを解説をしていきます。KITTEN(子猫)クラス1位の猫が掲げられると、会場からは感嘆の声が。

CFA KITTEN(子猫)クラスの1位となったメインクーン

▲ジャッジの評価
「子猫らしからぬ、長方形の長く大きな体、シャギー(不揃いな長さ)の入った豊かな被毛、
大きな目と耳、横顔はなだらかなカーブを描き、口吻はしっかりしている」

TICA KITTEN(子猫)クラスの1位となったベンガル

▲ジャッジの評価
「ワイルドキャットから作出した猫でありながら穏やかな気質をしている。ミンクのような滑らかな被毛、地色に対してはっきりとしたコントラストをもったロゼット(濃淡のある2色で構成されるヒョウのような柄)模様を持っている」

ショー以外のお楽しみも盛りだくさん

学べるステージ

メインステージでは、猫オーナーとして知っておきたい知識やテクニックが学べるトークショーを開催していました。

猫がかかりやすい病気のサインと予防法について獣医師が解説したり、愛猫を素敵に撮影するコツをペットカメラマンがレクチャーしたりと、バラエティに富んだ内容が楽しめます。
スタジオ運営やペットイベントの企画運営などを手掛けるペトグラファーの小川晃代さんにお話を聞きました。
猫ちゃんの撮影は光の使い方と視線のコントロールが鍵
ペトグラファーの 小川晃代さん(アニマルラグーン株式会社 取締役社長)

家の中で撮るときは、窓の光をうまく使うとよいですね。光は真正面から当てるとペタッとして見えるので、斜め前から後ろにかけて当てるのがコツ、窓際に猫ちゃんを置いて、サイドから光が当たるようにすると適度な陰影が作れます。

猫ちゃんは飽きっぽいので、撮影は3回ぐらいでキメたいところ。基本は連射、猫じゃらしを目で追わせたら、カメラのすぐ上あたりに猫じゃらしをさっと手早く引くと、猫の視線をカメラに合わせることができますよ。

フォトコンテスト

1,392作品もの応募が集まったフォトコンテストの入賞作品。うち80作品が会場内に展示されていました。最優秀賞・優秀賞は、来場者の投票により決定。

楽しみながら猫のことを学べるクイズラリー

ロイヤルカナン社のブースでは、猫の真の健康について学ぶクイズラリーを実施。スマホを使って〇×クイズに参加した方には、フードがプレゼントされていました。

猫グッズを販売するショップコーナー

ショップコーナーには、手作りの猫じゃらしやベッド、キャットタワーなどが購入できるショップが並び、マーケットのような賑わいに。ペットショップでは手に入らない商品が多く、留守番している愛猫のためにお土産を求める来場者の姿も多く見られました。

まとめ

キャットショーは、プロだけでなく一般の方も気軽に楽しめるイベントです。「あれはなんという猫種だろう」「同じ品種でも被毛の柄や、顔つきが全然違う…」と、普段目にすることのできない猫種や、猫たちのもつ豊かな個性に目を奪われます。

ブリーダーが手塩にかけて育てたショーキャットたちの美しさは圧巻です。ベテランジャッジが説明する猫種特有のチャームポイントを耳にすれば、猫の魅力の奥深さを知ることができるでしょう。

猫が好き、猫のことをもっと知りたいと思っている人は、ぜひ一度足を運んでみてほしいイベントです! 美しい猫たちに魅了されながら、あなたのお気に入りの猫種を見つけてみては?
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