オスとメス、どう違う?

3匹の猫
猫の場合、体のサイズや習性、性格といった部分に性別の違いが現れます。まずは、オス・メスそれぞれの特徴を見ていきましょう。

体の大きさ

オス

同じ親猫から生まれた兄弟猫であっても、一般的にはオスのほうが大きくなる場合がほとんどです。骨格や筋肉がしっかりしており、メスと比べると“がっちり”した印象です。体のサイズと比例して、体重も重くなります。

メス

オスよりも体高が低く、一回りほど小さいのがメスの特徴です。全身がほっそりとしており、しなやかでスリムな体格をしています。頭部も小さくまとまり、華奢な印象です。

体重もオスと比べて軽く、数kgの差が開くケースも珍しくありません。

習性による行動の違い

オス

メスよりも縄張り意識が強く、ケンカっ早いのがオスの習性です。去勢前の場合、縄張りやメスを争い、繰り返しマーキング(スプレー)をします。オス自身には決まった発情期はありませんが、メス猫の繁殖期につられる形で発情します。

野生の名残か、メスと比べると行動的で、移動範囲も広くなる特徴がみられます。去勢後は運動不足や食べすぎによる肥満になりやすいため、食事内容に注意が必要です。

メス

成熟したメスには年に数回の発情期がありますが、時期がいつになるかには個体差があります。発情期を迎えたメスはまるで人間の赤ちゃんが泣くように大声で鳴き、オスを呼び寄せます。

またマーキング(スプレー行為)はオス猫特有の習性と思われがちですが、発情期になるとマーキングをするメスもいます。

オスと比べて物静かで、行動範囲もあまり広くありません。やんちゃに動き回るより、マイペースで穏やかに過ごすことを好みます。

飼育にかかる費用の違い

オス

日常の飼育費用自体はそこまで性差がありませんが、オスとメスで費用感が変わってくるのが去勢・避妊手術です。

オスのほうが手術の難易度が低く、比較的簡易的な手術で済むことから、手術費用も安くなります。相場は15,000~25,000円ほどです。

一般的にメスよりも体重が重いオスのほうが食べる量も多くなる傾向にあるため、日常のフード代はやや高くつく傾向にあります。

またオスは比較的泌尿器系の病気にかかりやすく、そうなった場合の医療費についても考えておかなくてはなりません。定期的な健康診断や日常の健康管理をしっかりおこない、病気の発症や重症化を防ぎましょう。

メス

メスの避妊手術は、オスのそれよりも大掛かりです。費用もオスよりも高く、相場は20,000~35,000円です。手術時間も長く、術後は数日の入院が必要となります。

メスの猫には、子宮など性別特有の器官に病気を生じるリスクがあります。オス猫と同様、健康管理に気を付けて病気のリスクを減らすことで、医療費を抑えることは可能です。

性格

オス

オス猫は下記のようのな性格や特徴があるといわれています。

  • 甘えん坊
  • やんちゃ
  • いたずらっ子
  • 好奇心旺盛
  • 遊び好き
  • 外に出たがる
  • 縄張り意識が強い

メス猫よりも運動量が多く、室内でも十分な運動スペースを確保する必要があります。
オス猫(とろろくん/1歳/マンチカン)の飼い主さんの声
20代 女性
夫をライバル視? 活発で甘えん坊な男の子

オスだからか、夫にけんかを挑むことも……。夫はよく噛みつかれています(笑)
でも元気いっぱいで、めちゃくちゃ甘えん坊なところがかわいい!
最近、2匹目も欲しいなっと思ってるのですが、絶対オスにします!

甘える
▲飼い主さん(女性)には甘えん坊なのに・・・
ジタバタする猫
▲ご主人が抱っこするとジタバタ…そしてガブリ

メス

一方、メス猫には下記のような性格や特徴があるとされます。
  • クール
  • 独立心が強い
  • マイペース
  • 警戒心が強い
  • やや神経質
  • しっかり者
  • 慎重
  • おっとり

メスは猫らしいツンデレな性格といえます。
もちろん性格には個体差がありますので、一概にこうとはいえないものです。あくまで参考程度にとどめておきましょう。
メス猫(つむぎちゃん/5歳/雑種)の飼い主さんの声
30代 女性
メス猫だけど甘えん坊のストーカー猫

メスはそっけないとの意見が多いですが、うちの子は極度の甘えん坊。お風呂でもトイレでもどこまでもストーカーしてきて困るほどです。
落ち着いて用を足すことすら許してくれません(笑)

お風呂についてくる猫
▲お風呂にもついてきちゃう、甘えん坊のつむぎちゃん(メス)

オス猫とメス猫を見分けるときのポイント

猫 2匹 本
猫の見た目だけでオス・メスを判別することはできるのでしょうか? いくつかの点に注目すると見分けることが可能です。しかし、子猫の場合は体が小さいために差がわかりにくく、判別は難しいでしょう。

ここではオス・メスを見分けるために注目すべき点をご紹介します。

注目ポイント1.お尻のふくらみ

成熟したオス猫は肛門の下に睾丸がはっきりと確認できます。しっぽをあげているときに後ろから確認してみましょう。「ω」のようなふくらみが肛門の下、脚の間にあればオス、なければメスです。

ただし、去勢手術が済んでいるとふくらみがない可能性も……。

そのような場合や子猫の場合は、しっぽの付け根にある2つの穴の距離でも判別できます。
遠い場合はオス、近い場合はメスです。
オス猫のおしり
▲オスの猫のおしり
メス猫のおしり
▲メスの猫のおしり

注目ポイント2.毛色

毛色で100%性別を判別することはできませんが、遺伝子の関係上オスが大半である毛色、メスが大半である毛色が存在します。
この毛色だからオス(メス)かな?のように参考程度に見てください。

【オスに多い毛色】
  • 茶トラ系(レッドタビー、レッドタビー&ホワイトなど)

【メスに多い毛色】
  • 三毛(キャリコ、ダイリュートキャリコ)
  • サビ(トーティ)
サビ猫
▲サビ(トーティ)はメスが多い

注目ポイント3.顔の大きさ

ホルモンの関係で、オス猫はメス猫よりも顔が大きくなる傾向にあるといわれています。ほかにも縄張りやメスの取り合いなどでオスはケンカが多いため、多少噛まれても大丈夫なように頬の皮膚が厚くなり、顔が横に大きくなるという説も。

地域猫など外で暮らしている猫であれば、この方法で性別の目星を付けれるかもしれません。
ちなみに稀にメスでも顔が大きい子もいるようです。
オス猫の顔
▲オスの猫の顔
メス猫の顔
▲メスの猫の顔

猫の性別Q&A

籠に入っているたくさんの子猫

Q.オスとメス、よく鳴くのはどっち!?

A.鳴く頻度は性別では決まりません!

よく鳴く猫、またはまったく鳴かない猫がいますが、発情期の場合を除き、ここにも性別の差は見られません。鳴く頻度は、猫の品種や性格によるところのほうが大きいといえます。
関連する記事

Q.性別で声の大きさや高さに違いはでるの?

A.違いはありません!

鳴く頻度と同様に、声自体の大きさや音程の高さにも性別は関係していません。オスでもかわいらしい高い声で鳴く猫、メスでもちょっと低く、太めの声で鳴く猫もいます。

ただ、先ほども説明した通り、発情期を迎えたメス猫は普段とはまったく異なる大きな声で鳴き、オス猫にアピールするようになります。

Q.オスのほうが運動神経がいいの?

A.性別はあまり関係ありません。猫種のほうが重要です!

オスの方が活発で運動量が多い傾向にありますが、能力そのものにはあまり性差がありません。運動能力を左右する要素は、猫種や体のサイズである場合が多いようです。

Q.多頭飼いするなら、同性・異性どっちがいい?

A.成猫なら異性同士がおすすめ!

子猫同士であれば性別はそこまで気にしなくても大丈夫でしょう。無邪気に一緒に遊んでくれることがほとんどです。

気を付けたいのが先住猫が成猫の場合。
基本的に異性同士のほうが相性がよいといわれることが多いです。ただしきちんと避妊・去勢手術をしていることが前提です。

性別のほかに年齢が近いほうが馴染みやすく、高齢猫と子猫など年齢が離れるほどうまくいかない傾向があります。
体力差や性格、年齢なども鑑みて、相性のよさそうな猫を探しましょう。
多頭飼い経験者(メス猫×3)の声
20代 女性
メス猫3匹飼っています。関係性は……つかず離れず?

上から7歳、4歳、2歳の3匹のメス猫と暮らしています。みんなすごく仲良し!というわけではなく、「まぁ、いてもいいか」と思っているような距離感です。ツンデレ、繊細で臆病、犬のように甘えん坊と三者三様で、それぞれのかわいさがあり、一緒にいて飽きません。

猫2匹
▲一緒にいることが多い7歳(右)と4歳(左)の白猫コンビ
三毛猫
▲一方で1歳の子は単独で行動しがち

オス猫・メス猫特有の病気

猫 獣医

オス猫特有の病気

オス猫特有の病気には下記のものがあります。
  • 精巣腫瘍
  • 前立腺疾患
  • 猫下部泌尿器疾患(FLUTD)

生殖器官に関する病気は去勢手術で防げるものです。繁殖を考えていないのであれば、病気予防のためにも去勢手術を検討しましょう。

そのほか、オス猫は体の構造上、泌尿器系の病気になりやすいです。
頻尿や血尿、トイレに行くのに尿が出ていないなどの症状が出たら、病院へ行きましょう。

メス猫特有の病気

メス猫特有の病気には以下のものがあります。
  • 子宮蓄膿症
  • 乳腺腫瘍

どちらの病気も避妊手術によって予防できる病気です。
また、猫は交尾排卵動物で、交尾するとほぼ100%妊娠します。そのため未避妊のメスの飼い猫が脱走し、帰ってきたら妊娠していた……ということは珍しくありません。

望まない繁殖、病気、発情のストレスなどのリスクを取り除くためにも避妊手術を検討するのがよいでしょう。

どちらを飼ってもかわいさには変わりない

抱っこらされる3匹の子猫
オス・メスどちらを飼っても、それぞれにかわいらしさがあり、その魅力に優劣はありません。もちろん、性別で容貌や性格に違いが見られる場合もありますが、どんな猫を好むかどうかは人によるため、どちらが飼いやすいかは一概にはいえません。

猫の種類や毛色のバリエーション、顔つきや性格の傾向などをもとに、自分が飼いたいと思える猫を探しましょう。

まとめ

一緒にタオルにくるまる2匹の子猫
以上、猫のオス・メスによる違いについて説明しました。
繰り返しになりますが、性別による違いは個体差である場合が多く、オスだからこう、メスだからこうとはっきりと分かれているわけではありません。
性別に関係なく、私たちを魅了し続けている猫たち。ぜひ自分の好みに合ったかわいい猫を探してみてくださいね。