猫は寒さに弱い?

寒そうな猫
基本的に、猫は犬よりも寒さに弱い動物です。
まずは、猫が寒さに弱い理由と、猫が寒がっているときに見せるサインについて紹介します。

猫は寒がり

猫の祖先であるリビアヤマネコは、砂漠地帯に住んでいました。現代の猫にもその特徴が引き継がれているため、寒さは得意ではありません

また、猫が寒さを苦手とする理由として、犬などと比べて筋肉量が少ないという点もあります。
筋肉の収縮に使われるエネルギーの多くは、熱となり体温を上昇させます。筋肉量が少ない猫は、熱を生み出す力も弱いことから、寒がりの傾向にあるのです。
しかし、なかには寒さに強い猫も存在するため、猫の様子をみながら寒さ対策をする必要があります。

では、次に猫が寒がっているときに見せるサインについて紹介します。

猫が寒がっているサイン

下記のような行動やしぐさを見かけたら、部屋の温度をチェックしましょう。

  • 体を丸めている
  • 毛布に潜り込んで出てこない
  • 毛を立てて体を膨らませている
  • 食欲はあるのに水を飲まない
  • 飼い主のそばや暖かい場所から離れない

寒さに弱い猫・強い猫って?

寒がりなスフィンクス
基本的に猫は、寒さに弱い動物といわれています。
しかし、すべての猫種にあてはまるわけではありません。
原産地や被毛、体格によっても寒さに対する耐性は異なりますので、次の項目で紹介します。

寒がりな猫種

短毛種(とくにシングルコート)の猫や被毛の少ない猫は、体温維持が難しいため、寒がりの傾向にあります。
また、温暖地域出身の猫種も寒さに弱いといわれており、下記の猫種は寒がりといわれています。

  • ベンガル:自然発生した猫で、シングルコート
  • シャム:保温保湿の役割を持つ下毛が生えない
  • シンガプーラ:温暖気候のシンガポール生まれ
  • スフィンクス:毛がほとんどないため、寒さへの耐性が少ない
  • デボンレックス:一般的な短毛種より被毛の長さが短い

子猫・シニア猫はとくに注意

うまれたばかりの子猫は、体温調節がうまくできません。
生後4カ月くらいまでは、寒さ対策をしてあげると安心です。
また、シニア猫は筋肉量が減って体が温まりにくく、体温調節機能も衰えてきています。注意してあげましょう。

寒さに強い猫種はいる?

猫のなかには、寒さに強い猫種もいます。寒冷地出身の猫長毛種は比較的寒さに強いです。具体的には、下記の猫種があげられます。


ただし、個体差があるため、長毛種でも寒さが苦手な猫もいます。

冬の室内環境づくりと留守中の工夫

こたつ
ここでは、冬の快適な温度や湿度、留守番中の暖房について紹介します。

猫の冬場の快適な温度

猫にとって快適な温度は、20〜28℃が目安です。暖房の設定温度は、22℃前後を目安に保ちます。
ただし、猫種、健康状態、年齢などによっても、快適な温度は異なります。
子猫や高齢猫、持病がある猫がいる場合は、温度を高く設定するとよいでしょう。

湿度管理も忘れずに

見落としがちなのが、乾燥対策です。
猫も人間同様に、乾燥していると風邪を引いたり、皮膚トラブルを起こしたりします。
猫に適している湿度は、人間と同様で50〜60%です。
室温管理として、加湿器の使用や洗濯物・濡れたタオルを室内に干すといった対策を適宜おこないましょう。

留守中に暖房はつけっぱなしでいい?

ヒーターやストーブといったやけどの危険性が高い暖房器具は、電源を切って外出すると安心です。
寒さ対策として、こたつやホットカーペットなどは「強」で温め、出かける直前に電源を切りましょう。
夕方など気温の下がってくる時間帯に合わせてタイマーの設定をするのもおすすめです。

また、晴れの日は日光を活用したり、冬用の毛布などで防寒スポットを設置したり、暖房器具を使用しない寒さ対策も取り入れましょう。

ヒーターやストーブを使用する際の注意点

電気ヒーター
ヒーターやストーブを使用する際の注意点を紹介します。飼い主さんの留守中は使用を控え、電源コードを抜きましょう。

やけど

ヒーターやストーブは、猫の毛や皮膚が直接触れる面積が大きいため、やけどの危険性があります。
ヒーターやストーブに近づきすぎないよう、ガードを設置するなどの対策をしましょう。
やけどすると赤く腫れ、ひどい場合は、水ぶくれや皮がめくれることもあります。
やけどをしたら、やけど部分を冷やし、すぐに動物病院へ連れていきましょう。

低温やけど

低温やけどは、比較的低い温度(40〜50℃)の長時間にわたって接触すると起こります。
猫は熱さに鈍感な一面もあり、低温やけどしていても気づかない可能性があるため、気をつけてください。
とくにこたつや電気毛布など、猫の眠る姿がよくみられる場所では低温やけどを引き起こしやすく、注意が必要です。
人がいないときは、こたつの電源を切ったり、接触面の温度を下げたりするなどの工夫をしましょう。

感電

猫はひも状のものや動くものに興味を示す傾向にあるため、暖房器具の電気コードに噛みつく可能性があります。
留守中や使用していないときはコンセントを抜いたりし、電気コードにカバーをしたり、対策を講じましょう。

乾燥

前述でも紹介しましたが、猫の快適な室温は20〜28℃、湿度が50〜60%です。
湿度が低くなるとウイルスが活性化し、風邪の原因につながります。
また、静電気が発生し、猫が不快な思いをしてしまうこともあるため、注意しましょう。

水分不足

もともと猫は、あまり水を飲まない動物です。
乾燥からの脱水症状や暖めすぎによる熱中症を防ぐために、意識して水を飲ませてください。
また、水分不足は泌尿器の病気につながりやすいです。水飲み場を複数設置したり、ぬるま湯にしたり、ウェットフードをあげたり、猫が水分補給しやすい工夫をしましょう。

暖房グッズと猫の寒さ対策

ベッドで寝る猫
寒さが苦手な猫にとって、暖が取りやすい環境を整えることは大切です。
暖房グッズを取り入れることで、ヒーターやストーブと併用しながら寒さ対策ができます。

猫用こたつ

「暖かい」「狭い」「暗い」がそろっているこたつは、猫にとって快適な空間です。
しかし、人間用のこたつは、猫にとっては高温です。低温やけどを起こしたり、酸欠や脱水症状を引き起こしたりする可能性があります。

一方、猫用のこたつは、ヒーターが直接身体にあたらないように配慮されているだけでなく、コードにかじりついても感電しないように工夫されているので、安心して使えるでしょう。

湯たんぽ

湯たんぽは電気を使わないため、ほかの暖房グッズと比べると、気軽に使えます。
猫に湯たんぽを使用する際は、製品の注意点をしっかり読んで守ってください。
また、湯たんぽに触り、熱すぎないか確認してから使用しましょう。
湯たんぽがやや熱いと感じたら、タオルや専用カバーで包み、低温やけどを起こさないように配慮してください。

ホットカーペット

動物用のホットカーペットは火事のリスクが低いだけでなく、室温を高くせず体を温められます。
ただし、温度設定には注意が必要。飼い主に合わせた設定温度だと低温やけどの危険性があるため、ブランケットなどを敷くか、温度を低めに設定しましょう。
また、ものをかじる癖や爪とぎをする猫の場合は、断線させてしまうことがあります。注意してください。

冬用ベッド

ベッドを冬仕様のふわふわな素材に替えるだけでも、猫は暖かさを感じられます。
冬用ベッドは、電源なしで安心して使えるのも、大きなメリットです
また、湯たんぽと組み合わせて使うのも効果的といえます。
ベッドは床から離れた場所に置くと、下からの冷気を受けにくくなるでしょう。
可能であれば日光が射す場所など、寒さを感じにくいところに配置するのがおすすめです。

アルミシートを敷く

アルミシートは保温性に優れており、寒さ対策になります。
寒さを遮断してくれることから、普段よりも暖かく眠ることが可能です。
使い方としては、ラグやベッドの下にアルミシートを敷いて使用します。保温性を高められて、暖かさを維持できるでしょう。

ブラッシングをする

ブラッシングは毛並みを整えるだけでなく、皮膚への刺激で血行がよくなり、体を温められ効果があります。
スキンシップも兼ねて、愛猫に心地よい刺激を与えてあげましょう。

冬場に気をつけたいポイント

マフラーを巻いた猫
最後に、冬場に気をつけたいポイントを紹介します。

急激な温度変化

猫も人間と同様に、急激な温度変化によって起こる「ヒートショック」を引き起こすことがあります。
ヒートショックとは、寒暖差によって血圧が大きく変化し、心臓や血管などに大きな負担がかかる状態のことです。
とくに心臓や血管が弱い「シニア猫」や「子猫」、「持病がある猫」は、室内の温度差に注意してください。
たとえば、夕方や夜中の気温がぐっと低くなるタイミングは、室温の温度差が生じやすいです。
猫が自分で暖かい場所に移動できるようにしたり、毛布や湯たんぽを置いたりと、温度変化が少なくなるように対策しましょう。

泌尿器系の病気

冬は膀胱炎や尿石症など、泌尿器系の病気が増えやすい季節です。
猫は寒いと運動量が低下し、それに伴い、飲水量も低下します。
また、トイレ・水飲み場が寒い場所にあると排泄を我慢してしまい、泌尿器系の病気のリスクが高まります。
ただし、寒いからといって、むやみにトイレの場所を移動させるのはNG。トイレの場所が変わったことでストレスを感じる猫もいるため、少しずつ暖かい場所へ移動させるなど、慎重におこなうことが大切です。

運動不足

冬場は寒くてじっとしている時間が増え、運動不足になりがちです。
運動不足は、肥満の原因にもなります。
肥満になると血液が十分に行き渡らなくなり、部分的に冷え性のように冷たく感じることもあるため注意が必要です。
猫じゃらしなどのおもちゃを使って遊んだり、キャットタワーで上下運動させたり、肥満にならないような生活を心がけましょう。

まとめ

毛布にくるまる猫
猫種によって差はあるものの、基本的に猫は寒さに弱い動物です。
猫を寒い環境に放置すると健康に影響をおよぼす可能性もあるため、冬にはなんらかの対策が必要です。

ただし、暖房器具によっては、やけどや感電の危険性もゼロではありません。そういったリスクを踏まえつつ、暖房器具などを正しく取り入れ、愛猫と一緒に寒い冬を乗り越えましょう。