生後3~4カ月の子猫の育て方

毛玉と子猫
生後2カ月で子猫を迎えた場合、あるいはお迎えして1~2カ月たったころの子猫は、社会性が出はじめる時期。生後3~4カ月の子猫の様子、育てるうえで気を付けたい点について説明します。

生後3~4カ月(迎えてから1~2カ月)の子猫の様子

お迎えしてから1~2カ月たつと、よほど神経質な子でなければ新しい環境に慣れてくるころです。家の中をせわしなく走り回る子も多い、元気いっぱいの時期。

フードは子猫用ドライフードを1日3~4回程度に分けて与えましょう。
食欲がない、体重が増えない、減っているなどの場合は、すぐに動物病院に相談してください。

いろいろなものに興味をもち、遊びたがるのもこのころ。事故やケガの危険性が高いため、目が届かなくなる夜間や留守番時などはケージを活用するのがおすすめです。

2回目のワクチン接種

猫は、生後3カ月までに接種しておくべきワクチンがいくつかあり、「混合ワクチン」として、接種します。

生後2カ月ごろに子猫を迎えた場合は、ブリーダーやペットショップで1回目の混合ワクチンを打っていることが多く、2回目の接種はお迎え後に接種する必要があります。

2回目の混合ワクチンの時期は1回目から3~4週間後です。
時期が近づいたら動物病院に連れていきましょう。事前に予約を取っておくと安心です。

2回目のワクチン接種が終わったら、そのあとは1年に1回の定期接種となります。

注意点

ケガ

生後3~4カ月の子猫は、やんちゃ盛りでいろいろなことに挑戦したい時期。かわいい盛りですが、思わぬところからの落下などによるケガに注意が必要です。

運動能力は抜群ですが、とっさの状況には対応しきれないことも。猫が着地するような場所にものを置かない、倒れる危険性のある不安定なものはしっかり固定し、安全対策は万全にしておきましょう。

脱走

すばしっこく体が小さいので、少しの隙間から飛び出してしまう可能性があります。

網戸であれば脱走の危険がないと思いがちですが、爪を使って網戸を破ってしまうこともあるので完ぺきな脱走対策とはいえません。また、アスレチックのように網戸によじ登ってケガをする場合もあるため、網戸にできるだけ近寄らせない工夫は必要でしょう。

子猫が近くにいるときには、窓を開けないほうが安心です。開けても、すぐに閉めるようにしてください。

玄関やベランダなど、外につながるドアを開けるときは、念のためケージに入れておくことをおすすめします。

生後5~6カ月の子猫の育て方

寝転ぶ子猫
生後5~6カ月(自宅にお迎えしてから3~4カ月くらい)になると、歯の生え変わりもだいぶ進み、体も成猫に近いくらい大きくなります。人間でいうと思春期くらいにあたり、自立の時期でもあるため留守番ができるようになります。

生後5~6カ月(迎えてから3~4カ月)の子猫の様子

生後5~6カ月は、乳歯から永久歯への生え変わりの時期。抜けた乳歯は飲み込んでしまうことが多いですが、まれに床に落ちていることがあります。

乳歯が抜ける際に出血することがあるため、おもちゃに血がついていることもありますが、子猫の様子に異常がなければあまり心配しなくても大丈夫です。

また、この時期になると子猫だけでの留守番もできるようになります。猫は環境の変化が苦手なため、ペットホテルや知人に預けるよりも、留守番のほうがストレスを感じにくいでしょう。

ただし、まだまだやんちゃな時期で狭い場所に入り込んだり、電化製品のコードをかじってしまったりするなど、油断はできません。子猫にとって危険なものは片付けておくのはもちろんですが、ケージをうまく活用しながらの留守番が安心でしょう。

避妊去勢手術の検討を

避妊・去勢手術は最初の発情期が来る前、生後6~7カ月くらいのタイミングがいいといわれています。
ただし、どの時期に手術をおこなうかは、子猫の成長具合や獣医師の判断によって異なるため、一度かかりつけ医に相談するとよいでしょう。

早い時期に手術をおこなうことで生殖器系の病気を予防できます。また、メスの場合は交尾による感染症のリスクを下げることができ、オスの場合はマーキングを軽減することができます。

猫は繁殖力が高い動物としても知られています。繁殖を考えていないのであれば、手術を検討しましょう。

注意点

甘噛み

歯の生え変わり時期で歯がむずがゆくなるため、甘噛みが増えます。飼い主への甘噛みが癖にならないように、手や足をおもちゃにして遊ぶのは控えてください。

けりぐるみのような、噛んだり蹴ったりして遊べるおもちゃを用意し、愛猫が思う存分遊べるようにしてあげましょう。

肥満

避妊・去勢手術をすると、肥満になりやすくなります。

しかし、肥満が心配だからとごはんを減らしてしまうと、必要な栄養素が不足してしまう可能性があります。ごはんの量ではなく、運動量を調整して肥満を予防しましょう。

生後7~8カ月の子猫の育て方

上っを見上げる子猫
生後7~8カ月(迎えてから5~6カ月後くらい)になっても、中身はまだまだやんちゃで甘えん坊。しかし、体は大人の猫とほとんど変わらないほど大きく成長しています。

7~8カ月(子猫を迎えてから5~6カ月)の猫の様子

乳歯から永久歯に完全に生え変わります。もし、口の中を見てまだ乳歯が残っているなどの場合は、かかりつけ医に相談しましょう。

発情期

避妊・去勢手術をおこなっていない場合は、そろそろ発情期を迎えるころ。

発情期には、次のような問題行動が多くなります。

  • 夜間、高い声で鳴き続ける
  • 尿スプレー(マーキング)をする
  • 攻撃的になる
  • マウンティングする
  • 家の外に出たがる

発情期になると、いつも以上に外に出たがるようになるため、脱走にはいつも以上に注意が必要です。脱走してしまったメス猫が、妊娠した状態で帰宅し、自宅で出産するということもありえます。

オス猫の場合、明確な発情期はないものの、外にいる発情期のメス猫の気配を感じ、家の外に出たがります。脱走した場合、ほかの猫とのケンカをしてケガをしたり、感染症にかかったりするリスクがあります。

注意点

体重管理

猫種や個体差にもよりますが、平均的な体重は3~4kgと成猫と同じくらいの大きさになります。

これまで3~4回だった食事の回数を、朝晩2回にしてもよいでしょう。ただし、早食いや一気に食べてしまう癖がある場合は、これまで通り3~4回に分けて与えるのがおすすめです。

猫に必要なカロリーの計算式は、基本的に「80~100kcal×体重」で求めることができます。愛猫の体調や体格に合わせてごはんの量を調節し、おやつなどの与えすぎにも注意してください。

噛み癖

歯のむずがゆさによる甘噛みは落ち着くころですが、噛み癖に悩む飼い主は少なくありません。徐々に顎の力も強くなっているため、噛み癖を直さないと飼い主の手が傷だらけになる可能性も。

飼い主の手をおもちゃにせず、知育玩具などを取り入れながら遊んであげてください。

爪とぎ

猫に爪とぎの場所を教えましょう。
猫の手をそっと持ち、爪とぎ器に置いてあげると覚えてくれます。しかし、何度教えても爪とぎ器以外で爪をとぐのであれば、対策が必要です。

爪とぎができる場所を増やしてみる、違う材質の爪とぎを用意してみるなど、工夫してみましょう。

子猫の飼育で注意したいこと

こちらに手を延ばす子猫
最後に、子猫を育てるうえで注意したいことについて紹介します。

夜の運動会

夜行性のイメージがある猫ですが、実は「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」。薄明薄暮性とは明け方と夕暮れの時間帯に活発に行動する性質のことで、猫の狩猟本能からくる性質です。

人間と生活していくなかで、少しずつ活動時間は変わっていきますが、2歳くらいまでは夕暮れ~明け方に走り回ったり鳴いたりといった行動がみられます。あまりにも騒がしいのであれば、夜寝るときには子猫をケージに入れる、寝室に猫を入れないようにするなど対策するとよいでしょう。

子猫が騒がしいからと一緒に遊んでしまうと、しつこく飼い主を遊びに誘うようになってしまうことも……。子猫が騒いでいても無視(寝たふり)することで、徐々に飼い主の生活パターンに合わせてくれるようになるでしょう。

お手入れ

愛猫の健康のためにも、お手入れの習慣は大切。子猫のうちから慣らしておくと、成猫になってからもお手入れがスムーズにできるようになりますよ。また、日々のお手入れは愛猫とのコミュニケーションにもなり、ちょっとした変化や異変にも気付きやすくなるというメリットがあります。

爪切り

猫は爪とぎをする動物ですが、爪とぎと爪切りはまったくの別もの。爪とぎには爪を短くする効果はなく、古くなった層をはがして新しく鋭い爪を出すためにおこないます。

鋭く伸びた爪は、猫や飼い主のケガの原因となるため、爪切りでのケアが必要です。

猫の爪には血管が通っていて、よく見るとピンク色になっているのがわかります。このピンクの部分を切ってしまうと血管や神経を傷つけてしまうため、色が変わっている手前でカットしましょう。
血管を傷つけてしまいそうで不安な場合は、先の尖っている部分だけのカットでも十分です。

爪切りは子猫のときからはじめたいものですが、最初は嫌がるかもしれません。嫌がるようであれば1日1本など、少しずつ切って慣らしていきましょう。

歯磨き

歯磨きには歯垢の除去、歯垢の歯石化を防ぐ効果があります。歯石は歯周病のリスクを高め、歯周病によってさまざまな疾患を引き起こす可能性もあります。

歯磨きは永久歯に生え変わったら絶対に欠かせないお手入れですが、成猫になってから慣らすのはなかなか難しいといわれています。子猫のうちから口の中を触られることにしっかり慣らしておきましょう。

耳掃除

汚れをチェックし、黒っぽい汚れがある場合はイヤーローションを使用して掃除するか、濡らしたコットンで汚れを拭きとります。
綿棒は耳の奥を傷つけてしまったり、綿棒の先が耳の中に残ってしまったりする危険があるため、耳掃除には使用しないほうがよいでしょう。

赤みや腫れ、大量の耳垢、臭いが強いなどの場合は外耳炎などの病気の可能性があります。このような症状がみられるときは、病院に連れていってください。

耳掃除は毎日おこなう必要はありませんが、定期的に汚れや臭い、耳の状態をチェックすることが大切です。

室内飼育

外飼いや家の外と中を自由に行き来できるような飼い方は、リスクが大きいです。
  • 交通事故
  • ほかの猫とのケンカによるケガ
  • 病気、細菌や寄生虫による感染症
  • 望まない妊娠・出産(避妊手術をおこなっていない場合)
  • 猫の排泄物などによる近隣住民からの苦情

上記のようなトラブルのリスクがあるため、猫は完全室内飼育がおすすめです。

「外に出られないのはかわいそう」と考える人がいますが、外の世界を知らない状態であれば、猫はストレスを感じていないといわれています。また、猫はしばしば窓から外を眺めていることがありますが、これはテリトリーの監視やリラックスしているときに見られる行動。決して、外に出たいからではありません。

完全室内飼育であっても、思わぬ瞬間に猫が脱走してしまうことがあります。引き戸を開けられる猫も多いため、しっかり戸締りしておきましょう。
また、網戸は破られてしまう可能性があるので、窓の開閉にも注意が必要です。

まとめ

眠る子猫
子猫は月齢によって注意したい点が変わってきます。お手入れの習慣は、成猫になってからも続くので、子猫のうちからしっかり慣れさせておきましょう。やんちゃすぎて大変なこともあるかもしれませんが、今回の記事を参考にしながら、短い子猫の期間を楽しんでくださいね。